*ムービーで見る*
また、素材の特性や部位により、ヘリ返し仕立て(→見本画像)を用いる場合もあります。この仕立ては、縫った後にコバを仕上げて行く切目仕立てとは逆に、縫う前にあらかじめ薄革で断面を包み込みこんでしまう方法です。こちらも熟練を要する作業ですが、大量生産する場合において効率がよく、そもそも裏地に布地を用いる場合は切目仕立てが効かないため、一般的に多くの革製品に用いられています。両者の仕立ての違いにより製品イメージが異なることは然ることながら、もうひとつの重要な違いは修復性にあります。ヘリ返し仕立てで断面を包み込むためには、小物の場合でおよそ0.4ミリほどまで革を薄くする必要があります。コバの角はもっともダメージを受けやすい箇所なので、使用により損傷を受けます。この時、切目仕立てであれば磨き直して修復できる場合であっても、ヘリ返し仕立ての場合は、根本的な修復は不可能となります。よって、当アトリエでは、切目の向かない柔らかい素材をのぞき、接触の多い本体の主要なコバは切目で仕上げるように配慮をしています。
*ソリッドパイピング* 一般的には単にパイピング(玉ぶち)と呼ばれ、内縫いの縫目隠しやアクセントとして用いられます。昨今ではポリ芯等を薄く漉いた革で包んだものを使用するのが一般的ですが、擦れて中身がむき出しになりやすく敬遠したい方法です。革の詰まった玉ぶちであれば、多少の擦れは味となりますので、漉きのテクニックを応用して、これを具現化したものを独自名称としてソリッドパイピングと呼んでいます。ただし、この技術は参考資料である英国製アンティークバッグでも採用されていたことから、昔ながらの古典製法であるとも言えます。